初恋は実らない


※これは捏造と妄想が入っており、本編とは殆ど……と言うか全く繋がりがありませんが、一応は『太平洋奇襲戦』の捏造です
※ルルーシュはゼロではなく、ナイトオブゼロとして活躍しています(基本的に参謀の役割)
※ゼロの正体はルルーシュではなく、黒の騎士団の戦闘補佐&戦闘隊長だったライです。
※C.C.は黒の騎士団と一緒に行動。
※一応は、ギアスENDですが、黒の騎士団ENDの要素も含まれています。





 ログレス級浮遊航空艦。
 主に要人の移動時に使用される大型浮遊航空艦である。
 大量の人員やナイトメアなどを大量に搭載することが出来、堅固な防御力を持つが、対ナイトメアが唯一の弱点とも言えた。
 今はエリア11へ向けて太平洋上空を飛行している途中であった。
 この艦隊を指揮しているのは、ナイトオブゼロとして特例処置でラウンズ入りしたルルーシュが万全の配備で指揮していた。
 だが、後数時間でエリア11と言うところで黒の騎士団の奇襲を受けた。
 イレギュラーに弱いルルーシュは少し混乱していたが、直ぐに艦隊の体勢を取り戻した。緊急非常時と言う事で、エリア11に先行していたラウンズ三人に緊急連絡を入れた。丁度、コチラに向かっている所らしい。
 時間を稼げば逆転は十分可能だと判断したルルーシュは、かつて共にブリタニアと戦った黒の騎士団と戦うことを決意した。
(……黒の騎士団の司令官“ゼロ”。カラレスを殺した手腕と言い、ライ……お前なのか?)
 モニターに映し出される紅蓮二式や月下や無頼を見ながらルルーシュは思った。



『ライが命じる。ナナリー総督の場所へ案内しろ!』
「……分かった」
 黒の騎士団の奇襲により混乱したログレス級浮遊航空艦に忍び込んだライは、銃を向けてきた兵士にギアスをかけた。絶対遵守のギアスに掛けられた兵士は、そのままライをナナリーが待つ園庭へと案内する。
 園庭までの間に、妨害は意外なことに無かった。外の奇襲に集中しているのだろう。
 兵士はライを連れて扉の前まで案内した。
 そして暗証番号を兵士が打ち込むと、扉が開いた。園庭の中央には綺麗な衣装に身を包んだ皇族としての気品が溢れるナナリーの姿があった。
 兵士の首筋へ手刀を打ち込み気絶させた。
『ナナリー総督! ゼロですっ。…………ァ』
 放送から兵士の声が聞こえる。同時に、銃声の音も入り悲鳴がする。
 ライは園庭の中へ入ると、ナナリーが話しかけてきた。
「そこにいるのは……ゼロ、なのですね。わたくしも殺すのですか……?」
『――いや、お別れに来たんだ』
 そこでライは仮面を外してマスクを取る。
「ナナリー皇女殿下」
「その声は! ラ、イ、……さん?」
「ああ。久し振りだねナナリー。ブラックリベリオンでV.V.に連れ去られて以来か」
「な、なんで、ライさんが、ゼロ……なんですか!? クロヴィス兄様や、ユフィ姉様を殺したのも!!」
「…………ああ、そうだ。クロヴィスもユーフェミアも、色々な人達を殺したのは、『ゼロ』だ」
 ライはC.C.か『ゼロ』になる事を頼まれたときに全てを背負うことに決めた。今まで『ゼロ』が起こして犠牲となった人々の怨み、そしてクロヴィスやユーフェミアを殺した皇族殺しの罪を被ることを決めた。
 かつてギアスを暴走させて国民を、最愛の妹を、守るべき母親を、死地へ赴かせ殺した事に対する大きな罪がある以上、更に罪か重なったとしても……。
「う、そ。嘘ですよね。ライさん!! 嘘だと言って下さい!」
「真実だよナナリー」
「……ッ!!」
 ナナリーの閉じた目から涙が溢れる。そしてライは歩き始めナナリーの元へ向かう。
 まるで子供の様に泣くナナリーを見てライは少し後悔した。だか、罪に対する罰と思えば苦痛ではなかった。死すら許されない大罪。例え初恋の人であるナナリーを裏切る事になったとしても、それは然るべき罰。
「ライさん! 私の話を、聞いて下さい!!」
「……」
「世界は、世界はもっと優しく変えられると思います!! 総督就任は私が自分で選びました!! ユフィ姉様の意志を継ぎもう一度『行政特区日本』を」
「……復活させるのか」
「ゼロ! ……いえ、ライさん。貴方も参加して下さい! やり直せるハズです!! 人はッ」
「無 理なんだナナリー。僕はやり直す事は叶わない程の大罪を犯している。僕はかつてブリタニアの皇子だった。僕は日本の皇族とブリタニアの皇族のハーフだ。そ して日本人である母親を守る力が欲した。守るために、V.V.と契約して絶対遵守の『ギアス』を手に入れた。そして『ギアス』を使って異母兄弟である兄を 殺した」
 ライは足をゆっくりと前へと進める。
「それだけじゃない。僕は最後に、最愛の妹と、守るべき妹を、そして国民を死地へと赴かせた。『ギアス』の能力を使ってね。……ナナリー、こんな最低な人間の僕が、やり直す事なんて出来ると思うか? 出来ない。出来るはずがない!」
 声を荒げて言った。冷静なライとしては珍しい。
「……今日会いに来たのは、ナナリーにお別れを告げに来た。永遠の別れを」
「え!」
「ナナリーから、「ライ」に関する全ての記憶を……」
「いや……いやです! ライさんの事は忘れたくないッ。だって、ライさんは私の初恋の人だから!!」
「――――ッ!」
 ナナリーは子供のように叫ぶ。
 それをライは黙って聞き入る。片方の瞳に紅い紋章が浮かび上がった。
「僕も、ナナリーの事が初恋だった。……本当だったんだな。咲世子さんが言っていた通り『初恋は実らない』――」
「――ッ!」
「さようならナナリー。僕の初恋。……ライが命じる、ナナリー・ヴィ・ブリタニアよ。『ライ』に関する記憶を――――忘れろ!」



 ルルーシュの指揮の下でラウンズ三人は的確に従い僅か3分で体勢は逆転した。
 四剣聖の一人である仙波は、ジノに斃された事により、四剣聖は残り二人となった。
 そして太平洋奇襲戦は、黒の騎士団の敗北と言う形で幕を閉じた。
 ルルーシュは副官に現状を任せると、ナナリーがいる園庭へと向かう。
 園庭の入り口には、兵士が一人気絶している。慌てて園庭の中へと入った。
「……この感じは、お兄様?」
「ナナリー。無事だったか!」
 ルルーシュはナナリーに駆け寄り抱きつく。
 最愛の妹が無事で安心したのだろう。
「……ナナリー。泣いていたのか?」
「え?」
「涙の後があるぞ。何があったんだ」
「何もありませんでしたけど……」
 不思議そうに首を傾げる。
 少し目の周りが赤い様に見えた。ナナリーはルルーシュに顔色を変えずに嘘を吐くような人間ではなかった。
 ルルーシュは、かつてシャーリーに『ギアス』を掛けた時の事を思いだした。今のナナリーはそれに似ている感じがした。
 そしてナナリーの知り合いで絶対遵守の使い手はライのみ。ルルーシュはナナリーに聞いてみた。
「……ナナリー。ライの事を覚えているか?」
「ライ、さん……ですか? どなたです。あ、お兄様の知り合いですか」
「――いや、なんでもない。忘れてくれナナリー」
「変なお兄様」



 黒の騎士団が所有する潜水艦。
 ラクシャータが、中華連邦インド軍区から持ち込んだ物だ。
「…………」
 作戦室にある大きなソファーに、ゼロは横になっていた。酷く疲労したように感じられた。それを心配そうにカレンが見つめている。
 掛ける言葉が見つからない。初恋であり最愛の人から、自分の記憶を消す。
 それがどれほどの物なのかカレンには想像が付かない。
 重い沈黙が流れていると、C.C.が作戦室の扉を開いて入ってきた。
「何時まで悲しみに暮れている。黒の騎士団を幹部が集まっているぞ」
「……もう少し休ませてあげなさいよ」
「コイツは、こうなる可能性がある事を知って『ゼロ』になったんだ。もう逃げることは許されない」
『……――手厳しいな、C.C.』
「なんだ、私に慰めの言葉でもかけて欲しいのか?」
『余計に惨めになるだけだ。構わない』
 『ゼロ』は、ソファーから立ち上がった。とても覇気が感じられない。
 C.C.は珍しく溜息を吐いた。そしてカレンの背中を押す。
「な、なにするのよ!」
「……『ゼロ』を慰めてやれ。少し時間稼ぎをしておいてやる」
『C.C.――』
「ふん、今回限りだからな。貸しは高く付くぞ」
『貸しはピザで返す』
「当たり前だ」
 それだけ言うと、C.C.は作戦室を後にした。『ゼロ』は仮面を外してライへと戻った。目が赤く充血している。ギアスが暴走した訳ではなく、泣いたため目が赤くなっているのだ。
 ライはカレンへと倒れる。顔が胸元に丁度うずくまるかたちになった。真っ赤にカレンは顔を染めた。
「ちょ、ら、ライ!」
「ゴメン……カレン。少しで良いんだ。こうさせてくれないか」
「うっ、し、仕方ないわね。ちょっとだけよ」
「――――ありがと、カレン」